韓国ドラマ「チェオクの剣」全14話

出演/ハ・ジウォン、イ・ソジン、キム・ミンジュン
パク・ヨンギュ、イ・ハヌィ

http://www3.nhk.or.jp/kaigai/tamo/

木曜日と言えばドラマ激戦区でこの日だけで一日5、6本のドラマ
を鑑賞していたので随分後回しになってしまったが、ようやく
録画して置いたドラマが見終わった。

内容は17世紀朝鮮時代の警察の活躍をクローズアップしたドラマ。

正直私は韓国の歴史に全くと言っていいほど興味が無く、韓国の
歴史を学ぶくらいならば欧州の歴史の流れを見ていた方が
面白いくらいなので、ちょっと時代考証等についてはよく分から
ないです。


このドラマの面白いところに、国王に逆賊している叛乱側の人間
の背後にはなんと日本軍が関わっているのだ。
カトウという名の怪しいサムライが登場し、反乱に荷担する見返り
に日本は済州島を頂こうとしている。

微妙に朝鮮の剣術とは違うことをアピールしていたりしたが、
ドラマの中でのこの日本人の扱いは冷酷そのものであり、悲しい
ことに村を襲撃して惨殺を繰り返す人間として描かれている。
NHkらしくこれを日本であるとは表記せずに"異国""異国"と表現
していたのだが、随分汚い役を日本に押しつけられた感じもした。
最後も使い捨てのようにあっさりと亡くなったし。

ドラマはなかなか奥深くもあり、なんといっても映像美。
それに加えてシチュエーションの美学なども感じることが出来た。
というよりもシチュエーション命のドラマという感じがする。

フュージョン系のドラマと言うだけ有って、これまでの韓国の
現代劇での内容を歴史ドラマの中に被せたような内容で、音楽
も明らかに歴史の中に斬新さを要求するトーンで彩られていた。


さて肝心のドラマだが、突っ込み処は沢山ある。
一番不自然に映るのは、瀕死の状態に陥っても、次の瞬間都合良く
元気に立ち直ってしまう。北斗の拳のケンシロウの洋服が毎回
破れては次の瞬間再び着ているように、このドラマの中でも
何度となく剣や銃で切り刻まれて生きているのだか死んでいるの
だか分からない状態を経験しても、とにかく次の瞬間元気に
生きているのだ。
死なないと思えば最後は意外とあっさりと逝ってしまったが..。


ドラマとして最も興味深く描かれているのは、生き別れた兄と妹。
育ての兄と妹。警察と逆賊。
それらが対局した関係で存在し、決して交わる事の無いものとして
存在していることだ。交わることはタブーにも値する。

今生では結ばれることのない関係ならば、あの世で一緒に暮らそう
というラストの場面は近年の韓国ドラマにはよく有る演出。
主要人物が次々と倒れていく姿は不自然に映らなくもないが、ドラマは
一話一話の積み重ねたものの集大成のようでなかなか良くできて
いたと思う。
韓国ドラマらしく最初は面白くないのだけど、核心に迫るのと同時
に興味深くなっていく点は見習うべき演出かも。

ドラマの良さは敵にも味方にも確固とした理想や理念が存在して
こと。敵キャラが単純に憎むべき相手として描かれているのでは
なく、彼の行動そのものはまるでロビンフッドであるかのように
仲間から人望の厚い人間として描かれている。
方法論は違うが市民が生活する理想郷を目指して活動していると
言う点では、善悪の判別が難しい点が有った。この辺の微妙な
感覚が主人公チェオクの気持ちを惑わせ、視聴者にも興味深く
映ったのかも知れない。

随分感想と称して長くなってしまった。

感想では褒めた感じがするが正直あまりお勧めするものではないかも。
とにかくドラマは悲劇や悲しみに共感せよとばかり、同じトーン
で攻めてくる。これが有る意味食傷になり、最後は消化不良と
して胃を逆上してくる思いがするのだ。
ドラマもなかなか進展しない。人間が馬よりも早く疾走し、
二階建ての建物よりも高く飛び回る滑稽な姿。
なんとなく褒めて良いのか貶すべきなのか分からないドラマだった。

数多くあるドラマの中でNHKは何故このドラマを輸入したのかが
気になるところだ。

評価:★★★☆☆

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