エンジェル・スノー (2001年)

監督/ハン・ジスン
脚本/シム・ヘウォン、パク・ミヨン
出演/イ・ソンジェ(夫)、コ・ソヨン(妻)、ユン・ソジョン(おば)
キム・チャンワン(医者)

不妊に悩む夫婦が人工授精の元でようやく宿した小さな生命。
しかしそんな命も無脳症に冒され、出産しても僅かな命と宣告
される。

周りの視線が子供を持つ事への強迫に見えたり、妻のコ・ソヨン
自身が両親を早くに亡くし、おばに育てられた経緯が有るため、
同じ血筋を持つ本当の家族を求めている背景が有り、妻にかかる
妊娠への期待は相当なもの。そんな前提をふまえて、映画では
更に辛い現実を突きつける物語だ。

正直あんまり感情移入できない映画だったが、演出的にはなかなか
上手かった。
特に不妊に悩む夫婦の口数が次第に少なくなり、厳しい現実を目の
前にしてもいがみ合う事なく、夫婦の絆をしっかりと確立していく
辺りはよく出来ていたと思う。

夫は妻の苦悩する現実を知って、妊娠できないのは妻に非があるの
ではなく、自分に非があると説明している。そんな事実が分かって
しまうドラマのタイミング的も実に良かった。

感情移入できなかった理由は幾つか考えられるが、私的には
子供の物語よりも、妻とおばの物語の方がドラマとして成立し
そうな感じがしてくるところか。

養子縁組を拒否するどころか嫌悪感を抱くような反応を見せる所や
結婚6年という時期にして、子供を持つことを強要される現実も
イマイチ演出としては分かりづらい。「早く早く」という韓国の
民族の性格が如実に表れている為のものか。

デパート売り場には、なんとクォン・ヘヒョが出演していた。
冬ソナで言うところのキム次長。
皮肉にも望んでいないのに妊娠させてしまった感じの役。
こういう小さな演出の積み重ねが、主人公に降り掛かる幸運
や不幸の舵取りを担っているのだが、ちょっと繊細すぎたか。

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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