ハリーの災難 (1956年)
The Trouble with Harry

監督/アルフレッド・ヒッチコック
出演/ジョン・フォーサイス、シャーリー・マクレーン、エドモンド・
グーエン、ミルドレッド・ナトウィック、ジェリー・マシューズ

人里離れているような紅葉の映える田園での殺人事件。

「殺人は喜劇である」。
この映画のプロモーションの為ヒッチコックが来日した時に唱えた言葉。

それを証明するかのように映画の中では"殺人"に対する猟奇性を喜劇と
して扱い、非日常的な事をまるで日常的なものであると捉えて、人々の
倫理観を刺激する演出を180度違った方向に向ける。

視聴者自身、気が付くと映画の中で唯一、正常的な感覚を持つ雑貨屋の
息子/保安官助手の男の存在が邪魔であると感じ、死体が見つかりそう
な場面ではいつの間にか、何事も無いままに過ぎ去ることを願ってしまう。

この辺の演出は視聴者の興味や意識を、緻密な視点で計算するヒッチ
コックらしい構成だ(゚□゚)

殺人に対する考察だけではなく、シチュエーションが最も尊主される
べき恋愛劇を死体の目の前で発展させていく展開、映画の舞台と音楽は
まるでジュリー・アンドリュースが出てきそうなミュージカルっぽい
色が基調となっている点など、何処をどう見てもナンセンスそのもの
なのだが、この不思議な感覚の前に戸惑うしかなく、正直、映画として
はあまり面白くない(´ω`=)

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