活きる (1994年)

監督/チャン・イーモウ

【3/18】の日記の中で取り上げた中国映画「芙蓉鎮」に引き続き、
日記で中国映画を取り上げるのは二度目。現在NHKBSは中国と韓国の
映画を特集しているようで、夜と深夜に映画が放送されている。

「芙蓉鎮」も文化大革命の時代を取り上げた映画でしたが、この映画
では更に範囲が広がり40年代から始まり70年代を終着点として、中国
国内の内戦、政権交代による激動の時代を生き抜いてきた一家を描い
ている。

全財産の没収、父親の死、妊娠中の妻子と離別という一家の挫折・崩壊
から始まる映画。
以降、中国の革命により政権が交代して転覆と繁栄を繰り替えす姿と
同様に、一家は幸福と不幸がバイオリズムの様に交互に訪れる。

政治とは切っても切り離せない作品で、この映画の中の理不尽な行動や
結果の全ては、国家の"政策"とか"思想"の結果という言葉で片づける事
が出来る。それらの場面が訪れる毎に監督は国家への反骨心を皮肉な形
で表現しているかのようだΣ(・o・;)

主人公以上に生に対する壮絶なドラマを見せる親友の男性の存在や
価値観が120%入れ替わり市民階級の逆転が起こる状況が、この時代の
酷さを物語っており、当時の庶民の息苦しさを感じる事が出来る。

室内の装飾や発言の違いを探していくとその時代を知ることにも
繋がり、当時の価値観の違いをよく表していた。

やや不満なところを言えば、映画全体を通して人間の性格性を無視した
感じがしてしまう事。またそんな性格を現すキャラクターがなかなか
見えにくいところだろうか。
共産思想により個を押し殺すように教育されていても、それに反する
キャラクターをぶつけることで、映画全体にメリハリのついた展開に
なり、作品に締まりが出てくるように思う。


★出演者の詳細

コン・リー/鞏俐......グォ・ヨウの妻。
グォ・ヨウ/葛優......主人公の男性。賭博で私財を失う。
ジアン・ウー/姜武....長女の婚約相手。街の工場長。足が悪い。
グオ・タオ.......グォ・ヨウと共に影絵芝居巡業へ。後に知事となる。
ニウ・ベン...........町長。結構良い人。
リー・ダーホン.......賭博の相手。グォ・ヨウから家を奪うが...
フアン・ヅォンルオ...グォ・ヨウの父親。家を取られて急死。
リウ・ヤンジン.......グォ・ヨウの母親。病気で寝込んでいる。
リー・リャンイー.....解放軍の一人。弟を捜している。
チャオ・ユイシウ.....産婦人科。饅頭を食べ過ぎ。

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