ラブレターに纏わる4つの独立した話をオムニバス形式で映像化
した作品。
どれも新進の監督さんらしく、演出を見ても初々しくて、見終わ
ってからもさっぱりとした感じを受ける。
何にしても自分の思いを相手に伝えることの緊張感とその後に
待ち受けるスッキリとした爽快感は何事にも替えがたいものなの
かも知れない。
恋愛に対してはどれも見かけとは裏腹に気持ちが良いくらい
純粋なもので、どのエピソードを見ても納まるべき所に納まった
感じがして後味の良さを感じる。

この映画の公開当時2004年にはまだまだ知られていなかった
俳優さんたちも、今見れば立派に一線で活躍している俳優さん
たちばかりだ。

個人的には「あたしをしらないキミへ」が一番良かった。
主人公は見た目は派手で最も親に紹介したくないタイプの人間なの
だが、そんな見た目に反してとても純粋な心を持っている。
まだ見も知らない人との交流に対して誠意有る手紙のやりとりを
行い、時には型破りな行動によって相手の心を刺激する。
こんなギャップが良いんだろうね。

現在NHK朝の連続TV小説で活躍中の村川絵梨の演技が良い感じだ
った。

「雪に咲く花」はちょっと脚本的にも省きすぎた設定が多々見ら
れるが、繊細な美少女ぶりを発揮した小松彩夏とそれを支える
田中圭の息のあった感じが見られる。

「イカルスの恋人たち」は、恋人への思いを告げることと同時に
兄弟の絆を引き寄せる役目を果たす遺留品(ビデオ)の存在が
面白い。多少想像を膨らませて見なければならない部分が有るの
が残念だった。
中国人役をBusyのメンバーでソロデビューもしている當山奈央が
やっているというのも興味深かった。歌を歌う場面が有るために
歌手を紛れ込ませたのかな?
あっそういえば、村川絵梨もBOYSTYLEのメンバーの一人でしたね。
歌っているところ見たことがないけど(+_+;

「便せん日和」は、ちょっと脚本的に短すぎる感じで、ホンの
一エピソードばかりを抽出したような作りになっている。
目の前に相手がいるのに手紙をポストに出すという行動は有る意味
お洒落な演出だと思った。


◆「あたしをしらないキミへ」
監督・脚本／大森美香
出演／村川絵梨、弓削智久、真木よう子

◆「雪に咲く花」
監督／須賀大観、脚本／佐藤善木
出演／小松彩夏、田中圭、田中要次

◆「イカルスの恋人たち」

監督／永田琴恵、脚本／松田裕子
出演／玉山鉄二、塚本高史、當山奈央

◆「便せん日和」

監督／高成麻畝子、脚本／岡本貴也
出演／中越典子、大倉孝二、森ほさち

評価：★★★☆☆