みんなのいえ 2001年

監督・脚本/三谷幸喜
出演/田中直樹、唐沢寿明、八木亜希子、田中邦衛、伊原剛志
白井晃、八名信夫、野際陽子、吉村実子、清水ミチコ、山寺宏一

和風建築と洋風建築のスタンスの違い、昔気質の頑固な大工と
新進気鋭のデザイナーの対立、世代間の葛藤など面白く描いた
ホームコメディ作品。

対局する見地に立つ二人の間で奔走する田中直樹がキャラクター
通りに面白い役を演じている。
彼はどちらかというと田中邦衛側の肩を持つキャラクターであり
妻の八木亜希子は、唐沢寿明に入れ込んでいる役と言うことで
バランスよく配置されていたと思う。

ドラマは絶対的なイニシアチブを誇っている頑固一徹で意固地な
大工・田中邦衛が、洋風かぶりでその実力を懐疑的に見ている
若造の唐沢寿明の事を理解していく過程を描いてようだ。

卓上の物差しだけで語られた理論だけではなかなか理解することが
出来ない世代の人間を田中邦衛が上手く演じており、和風建築に
対する強点を強調し、洋風に負けじと意地を張っているところは
なかなか上手く演出されている。

曲がりなりにも相手の求めるものが具現化されていくウチに、
実力とセンス、そして深い思考の元で設計されている事を知り、
相手に歩み寄っていく過程がなかなかよく出来ていた。

納期ばかりを気にする余り、自分のしたい仕事が出来ないという
アーティストの悩みも有る意味納得出来た。

ちょっと残念なのは、出来上がった家に説得力が無かった所か。
正直あの家はセンスが無さ過ぎでしょう。
また唐沢寿明がアーティストとしての拘りを持って仕事をしよう
とした後の行動に、どうも説得力有る展開を用意しきれなかった。

あと最後に粋な味付けとして、扉を外開きから内開きへと変えて
置くくらいの演出を期待したかったぞ。

最後に
かつては"私は女優よ"と言い放った演技は素人の八木亜希子さん
の魅力を改めて感じることが出来た。
流石三谷幸喜らしくキャラクターの特徴を上手く引き出すことに
成功した作品だと思う。

評価:★★★☆☆

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