ラヂオの時間
(1997)
監督・脚本/三谷幸喜 |
舞台劇のような作品。
元々そこから映画化に発展した作品のようだ。
ドラマは深夜のラヂオ局を舞台としている。
無事に終わることしか考えていない人、掛け持ちの仕事が多くて
一つ一つの番組をおざなりにする人、素直に与えられた仕事を
淡々とこなす人、一定の女優の機嫌ばかりを取る人。
目的意識の違う人間達が、同じ現場で共通する仕事をこなしていく。
ドラマを面白くさせているのは、そんな人々が奏でる不協和音でも
有るし、それが後戻りの出来ない生放送という環境に置かれている
点だ。
一度着火したらあちこちで次々と導火線に火がつき、常に大惨事の
可能性を秘めている緊迫感が小さなスタジオ全体を包んでいる。
深夜放送ならではのテンションの高さと問題が発覚するエピソード
のくだらなさに真剣に対応するギャップの大きさ。
問題がくだらなければくだらない程、ドラマは盛り上がる寸法だ。
感心するのは、脇役も含めて全ての人々の個性を満遍なく引き
出している点かな。くだらない所でそんな個性が顔を覗かせ、
それが元で問題が増幅する。ただしそんな個性を最後は逆説的に
使い、ドラマをまとめ上げてしまうのだ。
大爆笑する程の内容ではなかったが、小気味良い笑いが随所で
見られる作品です。
評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)