聖なる嘘つき/その名はジェイコブ (1999年)
Jakob the Liar

監督/ピーター・カソヴィッツ
出演/ロビン・ウィリアムズ、ハンナ・テイラー・ゴードン
ジャスタス・フォン・ドナニー、ボブ・バラバン、アラン・アーキン

第二次大戦中、ナチスの占領下のポーランドのゲットーが舞台。

ナチスドイツの圧制により粛正の吹き荒れる中、夢も希望も未来も無い
生きる屍の様な生活をしているユダヤ人が、どんな時にも"ジョーク"を
忘れず"嘘"を糧として生き抜いていく。

嘘には、"付いても良い嘘"と"付いては悪い嘘"が有ると言われる。
人を欺くのは悪い事だが、結果を知る事によって人々の心の中に微笑み
の余韻をもたらす嘘ならば、誰もが歓迎する(´ω`=)

しかしこの映画の中の嘘は複雑だ。

嘘が嘘であっても人は亡くなり、嘘が本当で有っても亡くなる様な状況。
こんな場合の嘘は果たしてどちらに属するのか。

収容所とは違い人々の往来が有り、言論の自由が飛び交い過ぎるきらいが
在る所が映画の緊迫感を欠いているところ。
ドイツ兵士によって懲罰を受ける恐怖よりも、映画では主人公の嘘が
発覚しそうになるシチュエーションを何度も被せて、スリラー性を与える。

それだけ"嘘"に対する期待感とその綱引きが半端ではない(゚□゚)
"嘘"が映画全体を支配しており、"絶望"とは表裏一体。
灰色のトーンに彩られた映像が終始人々の陰鬱な気持ちを象徴し代弁する。

何時までもそんな嘘が見破られないことを願って止まないのだが、
嘘は発覚してこそ嘘になる。

映画では絶望と同時に冒頭から一寸の か細い希望の光を照らし出している。
"嘘"の発端は"真実"から派生したもの。

正直、旧ソ連軍の進軍がこれ程切望される視点で描かれ、頼もしく思える
映画は今までに見たことが無い(・o・;)

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