撮影の苦労の程が分かるのでなんとも酷評してしまうのが可哀想な感じが
してしまうのですが、前半の盛り上がりに比べて後半の展開が妙にリアリ
ティさを欠く作品となった。

ありがちな話しの中でも面白い作品は十分に面白いはずなのに、あまり
ピンと来るモノがなかった事は、やはりそれなりのシナリオだったと
言えるのかもしれない。

映画としては少なくとも織田裕二が持つキャラクターの特性を活かした
演出により、犯人の計画の進行と反比例して、小回りの利く織田裕二が
裏をかいて犯人を逆撫でし続ける展開にならねばならないのだが、
彼が一人や二人犯人を仕留めた所で何ら犯人に打撃を与えた感じがして
来ない。

また警察に情報を橋渡しした所で、展開上警察が加勢してくれるとは
考えづらく苦労して雪山の脱出を図った割には、報われないエピソード
として映るのが気になるところだ。

織田裕二の存在意義を明確にするためにも、犯人の計画段階で織田裕二
が不穏な動きを察知し、犯人の監視の目を潜って計画を遅らせつつ、
警察に知らせに行こうとするような展開の方が十分に緊迫感を満喫出来
るはずだ。

映画として重要なカットが随分抜け落ちているような気がするのは
TV放映の関係なのか予算の関係なのか分からないが、ダム内の放流に
より押し流された織田裕二のカットは必要だった。


織田裕二／ダム職員
松嶋奈々子／石黒賢の婚約者
佐藤浩市／犯人
石黒賢／ダム職員
吹越満
橋本さとし
工藤俊作
古尾谷雅人
平田満
中村嘉葎雄