7月4日に生まれて Born on the Fourth of July 1989年 アメリカ 144分 監督・製作・脚本 オリバー・ストーン 製作 A・キットマン・ホー 脚本 ロン・コヴィック 撮影 ロバート・リチャードソン 音楽 ジョン・ウィリアムズ 出演 トム・クルーズ、ウィレム・デフォー、キーラ・セジウィック、トム・ベレンジャー |
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ロングアイランド・マサピークア、1956年 ロニー、親友のティミーそしてその仲間達は森でサバイバル
ゲームをして楽しむ。そして7月4日のロニーの誕生日には可愛い恋人ドナから誕生日のプレゼントに
野球ドジャーズの帽子をプレゼントされ、友達からも祝福される。今日はアメリカ独立記念日。TVでは
ケネディ大統領が演説し、その姿を家族で共にみていた所で母は、”ロニーが目前に見ているような演説
している姿を夕べ夢に見た”と話すと、息子の先行きを期待したような眼差しで彼を見つめた。
やがてロニーも成長し、高校へ入学。クラブ活動では、レスリングのホープとして試合に出場するほど
の才能を見せ、人一倍負けん気を見せていた。
やがて卒業が近づく頃、2人の海兵隊員がこの高校へやってきた。リチャード校長から要請を受けた
2人、ヘイズ特務曹長とパワーズ曹長である。彼らは海兵隊の中でも徴兵部の一員で、今遠くの国
ベトナムで起こっている戦争のため若者に進路の選択の一つとして、N.Y州海兵隊への入隊に関する
説明・講演をしにきたのだった。海兵隊に入隊するには、パリス・アイランドでの13週間の地獄の特訓を
見事耐えきったものだけが許される過酷なものである。しかし、そこに入隊するものは、誰からも尊敬の
眼差しで見られ、男の資質を試すには最も適した場所であることを感じたロニーは迷わずその道を
選び、お国のためにと張り切っていた。
そして、卒業のパーティの恋人ドナとのダンスも、この為の準備に断るが・・・何かに気付いたように雨の中
高校最後のパーティへと向かった。
1967年10月、ロニーはベトナムの前線に居た。戦況はかなりの劣性で、この日ベトナム・クアベト川
付近にまで後退していた一師団は、誤ってベトナムの民間人を襲ってしまう。そればかりか
更に激しい敵の攻撃により、隊はバラバラに後退するハメになり右も左も分からぬ状況の時、逆光から
近づく同じ隊員の新米兵士ビリー・ウィルソンを間違えて射殺してしまった。
1968年1月、戦況は更に悪く救援を待つ間、突然の敵の襲来にロニーは銃弾を浴び、致命的なダメージ
を受け意識が遠のく・・・そして気が付いたときにはブロンクスの海兵病院にいた。
思ったよりも傷は深く、脊椎を損傷したロニーは二度と自分の足で立ち上がることは出来ないほどで
あった。病院の杜撰な管理の元、リハビリに励もうとするが・・・
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家族の期待と自分のため国のために誇りを持って海兵隊に志願するロニー。
ロニー扮するトム・クルーズの体を張った演技に注目。全て実話に基づいて製作されたベトナム
戦争での悲劇を映画化。自分が信じていたものが、間違いだと気付いたとき男の取った行動は?
トム・クルーズ(Tom Cruise)の映画、久しぶりに見ました。最初はまたか・・って感じがあったのですが、
次第にそんな気持ちも吹っ飛んでしまうほど捨て身の演技にハマってしまいました。
海兵隊に入隊するまでは、期待で満ちた顔をして信じる道に向かって一直線だった彼も
帰還した後、街の人々が全て自分のしたことに対して敬ってくれる事と思いきや、パレードの
時など彼に対し冷ややかな目が向けられ、そして家庭の中でも反戦に賛成している者がいる
と分かり冷静な目で今までの事を思い返してみると、国家に対して貢献してきたのに、その事に
対して全く敬う事無く、人間としての扱いも受けぬまま、彼に残ったのは、傷ついた不自由な体と
僅かな金、そしてベトナムで起こしてしまった悲劇だけという・・・何のために遠い地で戦うのか・・
帰還して少なからず、歴史の証人として彼の誇りとなるべき事が、実は全くの意味不明な
無駄骨。誰でもおかしくなってしまいます。
全くストーリーと関係ないのですが、カメラワークが悪かったですねー。戦地での撮影や帰郷して
酒場で飲み歩く時がとても見づらかったです。混沌として空虚なイメージを表現したような場面で
はあったのですが・・TVでみたのでもしかすると単にその関係で見づらかったのかもしれませんが。
だんだんと不満な念が膨らんで、家族の前でそんな自分の気持ちをぶちまけるシーンはホント
凄かったです。一瞬彼がアル・パチーノ(Al Pacino)に見えてしまいました。もう放送コードもなんの
その、こんなシーンはやっぱり演技力が問われるなぁ。
そして何故そこが集まるのか分からないけど、メキシコで同じような境遇にあった車椅子の仲間達
が居る中へと入っていきます。その中の一人はウィレム・デフォー(Willem Dafoe)でしたねー。彼は
『プラトーン』(’86原題Platoon)で戦地ベトナムで仲間に裏切られて銃弾に倒れてから奇跡的な帰還を
見せた・・かどうかは分かりませんが・・・あの映画もオリバー・ストーン(Oliver Stone)監督でしたね(^^;
どんなに楽しんでいても戦地で仲間ビリーを撃ってしまった記憶が頭を離れず、ついに決心して
ビリーの家族の元へ。この時正直に当時の状況を話すのですがビリーの妻が言った言葉が
印象に残っています。「私は決して許さないけど、主は許してくださるわ」と。でも彼の中の蟠りの
一つはこれで解けたんじゃないかな・・今後もこれは悪夢として一生心の傷としては残る
はずなんだけど、ここでの両親の言葉が戦場から帰還してはじめて慰め、励みになったようにも
思えます。
ちょっと作品の性質から興行的に結びつくとは思えないけど、なかなか考えさせられる映画でした。
監督や原作者、そしてウィリアム&スティーブボールドウィンなども出演しているとか。
レポーターやパレードの観客、兵士役など分かりづらい役柄ではありますが・・・
トム・クルーズ (ロニーコービック/長男) フランク・ウォーレイ (ティミー/ロニーの親友) ジョシュ・エバンズ (トミー/ロニー弟) アンネ・ボビー (スザンヌ/ロニー妹) キーラ・セドウィック (ドナ/ロニーの恋人) サマンサ・ラルキン (パティ/ロニーの弟) レイモンド・J・バリー (Mr.コービック/父親) キャロライン・カバ (Mrs.コービック/母親) ジェイミータリスマン (ジミー/ロニーの弟) ケビン・ハーベイモース (ジャッキー/ロニーの妹) トム・ベレンジャー (ヘイズ特務曹長) ウィレム・デフォー (チャーリー/メキシコにて) コーデリア・ゴンザレス (マリアエレナ/娼婦) ビリー・ニール (ワシントン/女医者・黒人) ブライアン・ラルキン (子供の頃のロニー) ジェシカ・プルネル (子供の頃のドナ) 評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0) |
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