アフリカン・ダンク The Air up There
1994 America 107mins
監督 ポール・マイケル・グレイザー 製作 テッド・フィールド、ロザリー・スウェドソン
製作 ロバート・W・コート 製作総指揮 ランス・フール、スコット・フルーク
脚本 マックス・アップル 撮影 ディック・ポープ 音楽 デビッド・ニューマン
出演 ケビン・ベーコン、チャールズ・ギトンガ・マイーナ、ヨランダ・バスケス




 

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決定的瞬間・・一生に一度の機会・・・初めてユニフォームを着たときの興奮は決して忘れない。

現在セント・ジョセフ大でコーチのフォクシー(ショーン・マッキャン)の助手をしているジミー(ケビン・ベーコン)
この日、高校生で有望な選手/スカウト候補である バディ・ウィルソン(ケイス・ギブス)に当たっていた。
ジミーは目の前の若者を何とか自分のチームに獲得しようと、甘い言葉で誘い入れようとする。するとバディは
調子に乗り、あれこれと条件を付け始めた。

 "一年目からレギュラーにしろ・・3年になるまで俺の変わりは入部させるな・・・車は今流行のオープンカーを
  くれ・・etc・・。"


これらが通らなければ彼は、ネバダ大の方に入学すると言い、完全にジミーの足下を見ていた。そんな目の前
の若造の鼻を今にもへし折ろうとするジミー。しかし同じくコーチの助手をしており、今日もジミーのスカウト活動
に同席しているマーク(Eric Menyuk)に宥められると、なんとか正常な精神を保つのだった。しかし次の言葉を
聞くと彼はついに、溜まっていたものを吐き出すかのように、バディの挑戦に乗るのだった。

ジミーはこの職業に就くまでは現役の選手だった。81年には優勝チームのメンバーの一人であり、ジミーの指に
は、常に誇りの証としていつも大事にしていた指輪が輝いていた。しかし膝の故障により現役選手としてではな
く、コーチの道を選んだのである。
そんな彼にバディは挑発し、あの時のプレイで俺と勝負するよう話した。

 "ハンデを5点やる・・そして1点入れれば50ドルの勝負"

年下でしかも結果も出していない若者に挑発されると、彼はボールを掴んで彼の前に歩み出た。
バディは有望といってもまだまだ18歳で経験が浅かった。現役当時”だまし(フェイント)のジミー”として通した
彼の前に点差は開くばかりだった。プライドを傷つけられたバディは入学を辞退すると言って、その場を後にす
るのだった。

バディをスカウトするために一体どのくらいの経費がかかったのか・・・郵便勧誘75回、ディズニーランド無料
招待に2回、練習着37着にロブスター料理37回・・・頭を抱えるフォクシーは、助手のジミーを叱りつける。
一体今まで何を教えてきたのか・・・。そんなジミーは、別の有力選手であるコノバーを入れることを勧めるが、
彼は既にインディアナ大との契約を済ませたばかりだった。
こんな事では後を継がせる訳にはいかない・・・型破りなジミーもその言葉を聞くと、自分を理解してくれない
コーチの元でこの先を目指すのは辞めようとさえ思うのだった。

ジョセフ大のOB主催で、寄付金の為のパーティーが開かれた。そこで長年優勝に導いてきたフォクシーは、
皆の前で今シーズン限りでコーチの座を降りることを発表する。後継人の発表はここでは敢えて発言しなかった
のである。本来順調に育てば、この時ジミーの名が呼ばれるハズであった。
このパーティーの目的は、カトリック教育の普及の為の資金集め。毎年このパーティーなどで集められた資金は、
病院や学校に送られる事になる。パーティーでは、そこで、昨年までの寄付金による実績がスクリーンに映し出
された。そこでは、アフリカのケニア北部にあるウィナビ学校の実状が報告される。その中には、バスケットボー
ルをして楽しむ現地の住民が映っていた。するとそれを見ていたジミーは突然立ち上がり、何かを閃く。
映像の中には、元プロバスケット選手であり、現在ウィナビ現地で学校経営を営む
オハラ神父(デニス・パトリック)が映っていたのであるが、その隣でプレイする選手は、そのオハラ神父を凌ぐ
ほどの身長を持った人物だったのである。
フォクシーから言われた予定を全てキャンセルし、後先考えず、ジミーはアフリカの地へ飛ぶのであるが・・・
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 バスケットボール(ジョセフ大)のスカウト助手を行っているジミーは、期待された選手
 の勧誘に失敗する。
 ちょうどその頃スカウトの後継者を探していたジョセフ大に取って、ジミーも一人の候補
 だったものの、この失態により、大きく株を下げてしまう。落ち込んでいた時に、たまた
 ま見た大学の慈善活動のVTRの中にアフリカでバスケットを楽しむ若者を見て、彼ら
 の潜在的な能力を見抜くと共に自らのチャンスだとして現地へと飛んだ。
 そこはアフリカ・・・果たして彼の思惑通り事を運ぶことが出来るのか!?
 

 ちょっと厳しい設定かと思ったのがケビン・ベーコン(Kevin Bacon)がバスケットボールの選手だったと設定。
 しかも優勝に多大に貢献した程の名プレイヤーという事で名を馳せている訳ですが、どうもバスケット選手とし
 ては無理な押しつけかなと思いました。その意味で最初に新人のプレイヤーとの戦いでのバスケットシーンを
 見せられたときは、そんな意識を吹き飛ばすような形で良かったと思います。
 (この映画を見てみるとホント映像のカットが上手く、少々バスケットボールが下手だったとしても上手い感じに
 編集して迫力ある画像が映し出されていました。)
 更に、潜在的な能力が有ったとしても、ちゃんと指導を受けていない新人を開拓する事により、突然チームが
 強くなってしまうという設定は、非常に漫画的ですよね。

 映画はなんとアフリカが舞台。
 しかもその中でもケニア北部にあるウィナビという小さな一種族の村を訪れるという、
 かなり奇抜なアイデアの映画で、音楽のノリもまた出演する演技者の雰囲気も不思議
 なテンポで進むという面白い映画でした。
 

 しかし英語/アメリカは全世界共通の言語という姿勢がなんともしがたいです(^^; 確かに現地語を絡めて
 言葉による楽しい演出(例えば現地語の”ジャラング”(永遠に考えておく)という事を利用したやりとりなど)が
 あったのも事実なのですが、何故か最後は全員が英語を喋っていて理解しているような感じでした。確かに
 アフリカは植民地時代の影響で英語を話せたり、現在でも向こうでは就職する為には英語は必須条件なので、
 教育で英語を習っています(日本よりも全然実用的に)が、それはあくまで首都圏とか文化的にも有る程度
 現代に適応している所だと思います。古くからの文化を守る種族・・観光客も現地の人もあまり寄りつかない
 場所で英語が浸透しているものなのかな〜と、変な所に気が回ってしまいました。

 しかも都合良くケビン・ベーコンにぴったりの女性がシスターとして滞在していたりします(笑)これはやはり、
 ジョセフ大の慈善活動の関係でアメリカというものが深く関わり合っているのでしょうか?(^^;
 (確か寄付金集めのパーティでも来年には養護学校を設立するとか言っていたので、その関係なのかな・・
 それにしても都合が良い)

 更にケビン・ベーコンも膝を故障している割には、凄い動きをしまくりですよね。上手くこれを利用し、最後は
 これ以上続けたら一生歩けなくなるという場面を作って友情や信頼などを再認識するシーンを演出する事が
 出来ましたが、それ以前には種族の一人になるための旅に出て、断崖絶壁を登ったり、バスケットスカウトの
 域を越え、コーチとして選手と共に走り回るなど、少々痛々しいシーンの連発でした。しかしそんな些細な設定
 は、このアフリカの土地をロケーションとしたダイナミックな映画の前には気にしてはいけないのかも知れませ
 ん。

 現地では幾つかの問題があり、その一つが隣接するウィナビとミンゴリの対立関係があります。
 ミンゴリの有権者であるニャガ。彼はミンゴリ鉱業株式会社を経営しており、ウィナビの土地に眠る鉱物を狙っ
 ており、土地の売買に応じないと分かると、醜いまでに嫌がらせをしてきます。
 ある時その関係に豪を煮やしたニャガがウルドゥの娘の結婚式を襲ったのをきっかけに、今まで反対していた
 ウルドゥ自らがバスケットで勝負する事になります。

 僕が映画で良かったと思うのは、アメリカには渡らずアフリカの土地だけで活躍を見せたという点です。正式な
 バスケット(というのも変かな)の中に無理矢理入れて活躍させる必要なんて無いですよね。いきなり背が高く
 てバネが有ったとしても、動きに無駄があったり試合感の無い選手が、いきなり全米バスケット選手権に入るの
 も何だか不自然ですし。
 それとダンクシュートのシーンは滅茶苦茶格好良いです。主人公を演じたサレがなかなか好青年であり、悪役
 を演じたニャガも悪役として完璧にハマっていました。

 映画の展開は、お約束な面(タイムアウト直前に主人公が逆転し強引なまでに全てが上手く纏まる)もあります
 が、ちょっと変わりモノ映画が好きな人なら楽しめるかと思います。弱かったチームが一致団結して変にのさば
 っているチームの鼻をあかすものってなんか良いですよね。

 ケビン・ベーコン         (ジミー・ドーラン/コーチ助手) かつて優勝に貢献した名プレイヤー
 チャールズ・ギトンガ・マイーナ (サレ/ウルドゥ息子)     バスケットボールの才能があるが・・父親に反対される
 ヨランダ・バスケス        (シスタースーザン)      ジミーのする事に全て反対するのだが・・
 ウィンストン・ヌショナ       (ウルドゥ/酋長)       村の行く末に頭を抱える。
 マブト・キッド・シットホール   (ニャガ/ミンゴリの権力者) ちょっと太った実力者。
 イロ・ムトンボ           (ミフンド)             ミンゴリ側。ジミーをバスの中で馬鹿にする。
 ショーン・マッキャン       (レイ・フォックス/コーチ)   ジミーの先生。
 ケイス・ギブス          (バディ・ウィルソン/新人)   冒頭でジミーがスカウトしようとする。
 Eric Menyuk          (マーク・コリンズ/コーチ助手) ジミーとはスカウトの座を巡ってライバル関係。
 Miriam Owiti          (ベイサ/サレ妹)       試合にも出場。
 デニス・パトリック         (オハラ神父)          多忙らしくなかなか顔を見せない。
 Connie Chiume        (Mrsウルドゥ)         ウルドゥの妻。
 Gibson Gathu Mbugua  (ハリンボ/選手6)
 Vusi Kunene          (ヌヅコ/ベイサの婚約者)  腹切りの儀式を行い一人前になる。
 Nigel Miguel          (ハラウィ/サレの兄)     現在勘当されニャガの元で働く。
 Francis Mutei         (ジョージ/司令塔)      彼が怪我をしたために変わりにジミーが出場。
 Dennis Orina          (ルワラ/選手1)
 Danstan Ojoo         (ソロロ/選手2)
 Peter Kigadi          (オポゾ1/選手3)
 Benson Rateng        (オポゾ2/選手4)
                    (ミランボ/選手5)


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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