あなたが寝ている間に・・・ While You were Sleeping

1995 America 103mins
監督 ジョン・タートルトーブ 製作 ジョー・ロス、ロジャー・バーンバウム
脚本 ダニエル・G・サリヴァン、フレドリック・リボー 音楽 ランディ・エデルマン
出演 サンドラ・ブロック、ビル・プルマン、ピーター・ギャラガー、ピーター・ボイル




 

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 少女時代の想い出・・・現実は意外にも薄いオレンジ色だった・・・冒険好きだった私とパパ。ポンコツ車に荷物
 を乗せ、次に向かおうとするエキゾチックな街の話を聞かされ期待いっぱいにいていた私。しかし実際行って
 みると単に普通の街。パパはママとの話しをする。何故二人は結ばれたのかなど・・・
 それは、ママが素晴らしい贈り物・・全世界をくれたから・・・ 予期せぬ人生・・・それが人生だ・・・と。

 1ドル50セントの電車賃。毎日月曜日から金曜日まで8時1分から8時15分までの間に現れる、私の夢の王
 子様。駅で切符売りをして働くルーシー(サンドラ・ブロック)は、この男性の事をいつも遠くから見ては、仄か
 に恋心を抱いていた。しかしそれは相手が気づくことのない一方通行な思い・・・

 世間的にはもうすぐクリスマスが近づいていた。いつものように夢の王子様との挨拶を済ませ、仕事から帰宅
 するルーシーは、クリスマス用のツリーを購入する。2階に住むルーシーは窓からロープでそのツリーを引き
 上げようとするが思った以上に重く、途中でそのロープを放してしまう。すると1階の管理人ジョーの窓ガラスを
 突き破ってしまった。
 誤りに行くルーシーは弁償することを言うと、ささやかながら少し早いクリスマスプレゼントを彼に渡した。

 翌日もいつものように朝早起きして、仕事場に行く途中に立ち寄る屋台でいつもの朝食(からし入りのホットド
 ッグ)を食べていると、職場の仲間でもある上司がやってきた。彼はルーシーに、いつも休日返上でよく働いて
 くれる模範的社員として、課長として上司に推薦状を書くことを告げた。しかし、彼の話の裏にはクリスマスにも
 人手不足であるため、独り身のルーシーに働いて欲しいという思惑があったのだった。
 いくら一人でもクリスマスに働くのは嫌だとその申し入れを断るルーシー。そしていつものように1ドル50セン
 トのお金を受け取るため仕事場へ向かうのだった。

  単純作業という事もあり、気の抜けた顔をしていると、彼女に声をかける男性の存
 在があった。”メリークリスマス”・・何げに聞き逃していた言葉であるが、その声の
 主は、なんと彼女が恋心を抱く男性からだった。彼女が声を掛け返そうとするとき
 には既に彼は背中を向き歩き出していた。折角のチャンスだったのに・・と、
 自責の念を抱いていると、目の前で信じられない事態が起こる。なんと彼に
 近づく2人の強盗が、プラットホームから彼を線路へと突き落としたのである。
 それを見ていた彼女は急いで現場に走り寄り、躊躇無く線路に飛び降りた。一生
 懸命声をかけ続けるが打ち所が悪かったのか、ピクリともしなかった。そして運の
 悪いことに、急行列車が近づいてきたのだった。彼女の助けを求める声もむなし
 く、だれも近くにいないことを知ると、彼女はいつも以上の力を発揮し、間一髪、
 彼を安全なところに運び込むのだった。
 

 病院に運ばれる。彼の名前はピーター・キャラハン(ピーター・ギャラガー)。ルーシーは医者たちからは、命の
 恩人ということも忘れられ、関係者以外の立ち入りを禁止される。彼女は”これから結婚するのに・・”と独り言
 を呟くと、一人の看護婦がこの言葉を聞き逃さなかった。そしてすぐに治療室へ通されることになった。そこへ
 間髪無くピーターの家族一同が一斉に押し寄せてくる。その混乱の中で彼女は、看護婦からフィアンセとして
 紹介され、命の恩人でもあることを言う事を告げられた。家族の者は初めは半信半疑ながらも、次第に彼女の
 事を受け入れてくれるようになるのだった。

 待合室で待つ彼らの目は、皆ルーシーに注がれる。ピーターとは何処で知り合ったのか?・・ピーターの何処
 が気に入ったのか?・・・など、ピーターからは一言も彼女の事を聞かされていなかった為、質問責めに合う
 事になった。
 思わず今まで幻想を抱いていた彼の事を、半ば現実のものとして告げるルーシー。彼の眩しい笑顔、そして
 私の人生を変える人だわと恋心を抱く女性の顔をして話すルーシーに、一同は納得したように彼女に易しい
 目を向けるのだった。

 夜中、誰も居ないところを見計らってルーシーはピーターの病室を訪れる。何度も見かけてはいたものの、
 未だ自己紹介していなかった彼女は、意識不明のピーターの前で自分の事、そして今回の事件について話し
 掛けるのであった。その内彼女は病室で眠ってしまう・・・そして気が付いた翌日にはピーターの家族が一同
 集まっていた。
 そして家族のものたちは、息子の結婚相手ならば当然として、今晩行われるクリスマスパーティーにルーシー
 を招待するのだった。
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  ひそかに片思いする男性が、あるとき突然意識不明に・・・その事件の命の恩人であるルーシーは、何処かで
  話がねじ曲がり、彼の婚約者という事で彼の家族の一員になってしまう。
  果たして、彼女の結末は如何に・・・

  うーん、良いですねー。サンドラ・ブロック(Sandora Bullock)がここまで素朴な役を演じられるとは思いませ
  んでした。
  この映画は、シチュエーションもまた良いですよね。毎日なにげなく見かける男性に恋をする・・・ごく平凡な
  家庭に憧れる一人の女性・・・そんな彼女は、母親を幼いときに亡くし、研究所に勤務していた父親とも、
  昨年死別したという経緯が有り、家族愛に飢えていた事もあって、ある事件をきっかけに、ピーター自身より
  も、そんな温かい家庭の一員になる事に憧れています。
  目の前にそれを掴むチャンスというものが訪れ、不運も重なり、本当の事も言えないまま、時が過ぎてしまう
  と言う・・・本人も彼の意識が戻るまでの極短い間の事と言うことは十分分かっているんだけど、それでもそん
  な幸せを味わってみたくて自然と足が向いて言ってしまいます。

  海外のフィレンツェ行きを実現するためにいつもパスポートを携帯している・・・なんていうのはちょっと着色し
  すぎているかも知れないけど、彼女の性格を表すのになかなか良い演出ですよね。
  更になんと言っても、映画の中の時はクリスマス。暖か家庭を演出するには最も良い時期ですよね。

  自分の不注意な発言から自分の予想していた事態とは全く予想外の方向に向かっていってしまうという展開
  は、ダスティン・ホフマン(Dustin Hoffman)靴をなくした天使(’92原題Hero)など有りますが、やっぱりど
  ちらの映画でもハッピーエンドが似合いますよね。

  この中に出てくるピーターの家族は皆仲が良く、見ていても微笑ましい事が有ります。それは行動をするのが
  一緒な事。病院にお見舞いに来るにしても、3世代の人間が一斉に現れます(^^; しかも皆特徴・
  個性を持っていて、それが映画の中では生き生きとして伝わってくるです。しかし、そんな仲の良い家庭で
  も、人生設計には意見の食い違いみたいなものが表面化しており、長男のピーターは家業を継ぐことに
  反発した結果、現在は弁護士として働いており、この事故が起こるまでは少し疎遠な関係になっていたという
  設定。また次男のジャックは、自分のやりたいこと(家具のデザイン・製造)を言えずに黙って家業を継いで
  います。

  しかし、面と向き合って話をしてみると父親は黙って理解してくれるのですよね。やはり、本当に伝えるべき
  事は、自分の内だけで考え込まず、向き合って話し合う事の重要性がここでも伝わってきます。
  子供では無いのだし、ちゃんとやりたい仕事があってそれをやるのならたとえ両親でも文句は言えない
  はずですよね。

  映画の中ではセリフなども洒落ていて、特にサンドラ・ブロックとビル・プルマン
Bill Pullmanの会話は見て
  いて非常に楽しそうでした。また、サンドラ役のルーシーは、事有る毎に上司であり同じ職場の課長に相談
  するのですが、ピーターでは無く、弟のジャックを好きだと分かったときに相談すると、”
解決するにはトドメを
  
刺せば良い”などの洒落たアメリカンジョークも飛び出し、なかなか笑わせてくれます(^^;
  細かいコメディ部分も楽しいですよね。あの詮索好きそうな看護婦の女性などは、影で話を聞いており、ピー
  ターが改めてプロポーズをすると目眩で倒れてしまいます(^^;

  この映画は最初から最後まで勘違いだらけのストーリーです。
  途中で幾つもの山場(修羅場?)があるのですが、管理人の息子ジョーJrを恋人として間違えられる事、妊娠
  について間違って伝えられる事など・・本人の知らない所で話が発展していきます。
  ひとつ自分で確かめれば簡単な事なのに・・それが確認できない・・恋愛って難しいものですね(^^;
  ラストは・・・結婚式場での大ドンデン返しなのですが、その様子を見ていたおばぁちゃんの目がとても印象に
  残っています。ルーシーが言っている意味を本当に理解しているのかなぁーってくらいニコニコしていて妙に
  可愛らしいです(^^;

  サンドラ・ブロック    (ルーシー・エレノア・モデレッツ)
 
キャラハン家
  ピーター・ボイル    
(オックス/父親)
  ミコール・マーキュリオ
(ミッジ/母親)
  グリニス・ジョーンズ  
(エルシー/祖母)
              
   (/祖父)
  ピーター・ギャラガー 
(ピーター/長男)
  ビル・プルマン     
(ジャック/次男)
  モニカ・キーナ     
(メアリー/長女)

  ディック・キューザック
(ルービン医師)
  アーリー・ウォーカー
(アシュレーベーコン/ピーターの婚約者)
  ジェームス・クラッグ
(ダルトン/ピーター同僚・XX事件)
  マイケル・リスポリ 
(ジョーJr./管理人の息子)
  ジャック・ウォーデン
(ソウル/隣のおじさん・家族同然) 
  Ruth Rudnick  
(ワンダ)
  マルシア・ライト   
(セレステ/ルーシーの同僚)

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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