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3人の男と1人の女。若者たちは酒に溺れ、薬と喧嘩を繰り返し、社会に反抗して生きてきた。薬が切れれば
即恐喝、強盗と・・・そして、この日もこの内の一人ジョニーの家に押し入り、店の中のものを物色していた。
すると、この家の主人が物音に気が付き、すぐに警察に連絡。更に主人は銃を持って強盗に立ち向かって
来た。
犯人らは早くも警察官が店を取り囲んでいるのを知ると、この主に向かって発砲。それが戦いの狼煙と
ばかりに、警察との銃撃戦が始まる。しかし勝負は目に見えており、このグループの唯一の女性・マギー
(ブリジット・フォンダ)が薬が切れて店内でうずくまっている間に、彼女の仲間の全ては警察によって射殺され
た。警察官の一人がうずくまっているマギーに近づくと、彼女は迷わず警官に向かって発砲するのだった。
警官殺しの重罪で拘留され、署内で審問を受けると、マギーは近くにあった鉛筆で警察官の手を刺した。
更に裁判所で死刑判決が下されると、それを不服に思って暴れ始めた。
この様子を一部始終見守っていた男が居た。メモを取り出して彼女の起こした行動を記録し、分析した。
そんな中、ついにマギーの刑が執行される。マギーは執行台のイスに縛り付けられ、薬を体内に注入されると
同時に、意識が遠のくのだった。
マギーは気が付くと辺り一面、真っ白な部屋のベッドに寝かされていた。そしてこの殺風景な部屋に一人の男・
ボブ(ガブリエル・バーン)が入ってくる。表面上、マギーは殺され、葬式まで行われており、その時の写真を見
せながら、男はその理由を説明した。彼は政府のため特殊な仕事をしており、その仕事の為の工作員になる
事を条件に命を助けてくれるのだという。マギーは考える時間を望むとボブは一時間の猶予を与え、一端席を
外した。そしてボブが再度マギーの部屋を訪れると、マギーはここから脱出するためにボブに襲いかかり、懐か
ら銃を奪い取って彼を人質にした。
そして、そのまま出口へ向かおうとするが脱出が不可能だと分かると、マギーは自ら命を断とうと口に銃口を
向けた。しかし、銃からは空しく空音が鳴り響き、ボブに取り押さえられる結果となった。
はじめから空砲だと知って、それでも人質になったボブに、敗北の念を感じるのだった。
マギーに選択の余地は無く、渋々了承するがその引き替えに、彼女は好きな音楽の”ニーナシモン”を要求
した。
ボブが上司のカフマンからマギーを一人前の戦士とするために与えられた時間の猶予はわずか半年間。
しかし、どんな事をしても全く命令に従おうとはしないマギーに対し、ボブはこれ以上は庇いきれないことを話し
て悲しい顔を見せた。単なる罪人であり、工作員の一人なのに、何故ここまで自分の事を思ってくれるのか・・
記憶を辿ると、彼女は今までボブが散々自分の我が儘に応じてくれた事、愛情を持って接してくれた事を思い
出し、アマンダ(アン・バンクロフト)に工作員に必要な事項を全てたたき込んでくれるよう頼み倒した。
そして月日が流れて半年が過ぎると・・・見違えるようなマギーがそこには居た。そして彼女が最も望んでいた
外界に出られるときが・・・その出所祝いにボブと外で食事する事を許され、ただただ純粋にマギーは喜んだ。
その食事の席でボブからプレゼントを貰うと、彼女はこれまでに無い笑顔で喜ぶのだが、中を見た瞬間に愕然
とする。それは殺しのための”拳銃”だった。
果たしてこの先、マギーはどのような事に巻き込まれるのだろうか・・
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自分の意志とは逆に次々と事件に加担させられるマギー。外の世界に出て 始めて信頼できる男J・Pと知り
合い、ホッとするのも束の間、次の事件の為の指令が彼女に与えられる。
可愛い顔とは逆に、シビアな役を演じるブリジット・フォンダ(Bridget Fonda)の演技に注目!!
うーん、なかなか良いアイディアの作品ですねー。
死を装う映画にアーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)の『イレイザー』(’96原題
Eraser)(裁判の証人保護の為)などかありましたが、あれとは全く違う感じで、生きるためには選択の余地が
無い事に巻き込まれたマギーが、何時の日かまた日常(通常)の生活を求め、先の見えない政府だかなんだ
かよく分からない巨大組織の歯車として、強制的に働くなんとも悲しひストーリー。
今にして思うと(見た後だから思うところ)、ラストの展開のこの役は、マギーによるマギーの為のシナリオじゃ
ないですか。核情報を売るファドバクティアルの愛人・アンジェラに扮装できるのは彼女のように度胸が据わ
っていて、容姿や雰囲気が瓜二つであるというのが条件でもありますし。
演技としては本当に、ブリジット・フォンダ/マギーとガブリエル・バーン(Gabriel Byrne)/ボブは素晴らしい
ものがありました。実際イメージとしては黒豹を飼う猛獣使い的な感じで、最初のミッションをクリアした時など
は、別にボブの元に素直に戻らなくても良いのに、自然と足が向いてしまう所はなんだかそれを表現していて
とても良い感じでした。
でもマギーが望んだこととはいえ、わざわざ一人で外の世界に出す必要もなかったのになぁー。
最初のミッションでの裏切り的な行為(トイレから逃げ出せ!といったけど出口が無かった)をされた事への
怒りが、予想以上に尾を引いていたのでしょうか。
しかし、ボブは同じようにマギーに殴られるシーンが3回もあるんですね。最初脱走しようとした所は滅茶苦茶
加減のない殴り方していたけど・・・ボブは信用を得ている割に比較的ヌけているところが有ってなんとも
憎めないキャラクターです。(^^;マギーもマギーで、何度も酷い扱いを受けているのに、ニューオーリンズの
出来事なんて予想できますよねー。
この映画の良さは脚本の妙と言いましょうか、とにかく主人公に訪れる甘い部分というのは、先の展開への
布石にしか過ぎず、視聴者にとっても彼女に降りかかるミッションが、ある程度予想できたとしても、
その予想の一歩も二歩も先を行く結末が常に用意されている為に、ハラハラドキドキする事です。
要は展開の予想できませんって事で(笑) 各場面はどれも印象的なシーンばかりですよね。
道具のように彼女を扱うのは、ボブの上司のカフマン。懐かしい顔だなぁーと思えば、TV『ツインピークス』
(’90原題Twin Peaks)のFBIの検査官役で、マクラクランの仲間だったミゲル・フェラー(Miguel Ferrer)です
ねー。
マギーの礼儀作法を半年の間、教えていたのがアン・バンクロフト(Anne Bancroft)/アマンダ。初め
てマギーが外出の許可が下りて、ボブと食事に行くと言ったとき、フっと悲しい顔をするのがまた良い
演技です。(マギーはこの後に起こることを知らないので大はしゃぎしていたシーンなんだけど、アマン
ダらはこれから・・と言うことを知っていたのです)
そして、なんといってもハーベイ・カイテル(Harvey Keitel)が殺し屋/清掃やとして出演しているの
ですねー。
でも全ての仕事は命令通り冷静にこなしていたのに、いざマギーを殺そうとしたときのあのバレバレな雰囲気
はなんとかならなかったのだろうか(^^;
エンディングも良かったですねー。霧の中を消えるように去っていくマギーの姿。そして、それに気付いていて
も嘘の報告をするという・・・この辺、リュック・ベッソンっぽさが表現されていて好きなシーンです。ちょっと
くさいけどね(^^;
映画自体はリュック・ベッソン(Luc Besson)監督の『ニキータ』(’90原題Nikita/フランス製作)のリメイクと言う
ことになるのかな。(実は僕はまだ『ニキータ』を見たことがなかったりする)
シルベスター・スターローン(Sylvester Stallone)の『暗殺者』(’95原題Assassins)も見ましたが、個人的には
どれもそれなりの完成度を誇っています。やはりベースとなったニキータの脚本がしっかりとしていた証拠
でしょうか。
どの映画も音楽が嫌らしくも効果的に使われている感じですね。これもまたリュック・ベッソン風かな。
ブリジット・フォンダ (マギー/暗殺者) ガブリエル・バーン (ボブ/政府のまわし者) アン・バンクロフト (アマンダ/仕付教育) ダーモット・マローニー(J・P/マギーの恋人) ミゲル・フェラー (カフマン/ボブの上司) ハーベイ・カイテル (ビクター/清掃屋・殺しや) Olivia d’Abo (アンジェラ/敵のボスの恋人) 評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0) |
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