バッド・ガールズ Bad Girls
1994年 America 110mins
監督 ジョナサン・カプラン 製作 アルバート・S・ラディ、アンドレ・E・モーガン
製作 チャールズ・フィンチ 脚本 ケン・フリードマン、ヨランデ・フィンチ
出演 マデリーン・ストウ、メアリー・スチュワート・マスターソン、アンディ・マクダウェル
ドリュー・バリモア、ジェームズ・ルッソ、ダーモット・マルロニー、ジェームズ・レグロス 




 

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1890年代、女性記者・ネリー・ブライは新記録を達成した。72日11時間06分で世界一周を成し遂げた。

そんな記事を読みながらくつろいでいると、アニータ(メアリー・スチュアート・マスターソン)の元に大佐がやって
くる。今日は大佐の誕生日。しかし、家の外で何やら騒ぎを聞いてバルコニーから外に出てみると、ここの建物
の前で人々が集まっていた。
”このエコー・シティに神の降臨を”・・そう書かれた看板を手にギャンブルと売春をこの街から撤廃させようと、
牧師を先頭にデモが繰り広げられていたのである。アニータらが居た場所の一階が賭博場兼酒場で、二階が
売春宿になっていたのである。アニータは大佐との関係を拒み、迫り来る大佐から逃れると一階にいる同僚の
コーディ(マデリーン・ストウ)に助けを求めて降りてくる。すると、大佐は銃を持ち出し大人しく彼女を渡さないと
射殺すると威嚇してきた。コーディは迷わず腰から銃を取り出すと大佐を仕留める。しかし、それが正当防衛だ
ったとしても、彼女は犯罪者として保安官に捕まる事になった。

縛り首の刑・・・そのための形式的なセリフが言い渡されようとしていた。その間に、ここの
売春宿の仲間である3人の女性、アニータ、アイリーン(アンディ・マクダウェル)リリー
(ドリュー・バリモア)は、この稼業を辞め、街を出ることを企んでいた。
コーディの刑が執行されようとするとき、この3人は彼女の元へ馬車を走らせる。するとコ
ーディはこの騒ぎの隙をついて、ロープに縛られたまま、彼女らが連れてきた馬に飛び乗
り、この街を後にするのだった。
 

街では大佐の夫人が探偵社を雇って、このコーディを探そうとしていた。この街の警察では管轄外の捜査を法律
で禁じていたからである。更に街では彼女の首に懸賞金がかけられているのだった。

夜、4人は火の周りを囲んで今後の行く末を考えていた。もう売春はたくさんだと皆口々に言い出す。
するとアニータはオレゴンにあるという640エーカーの土地の権利書を皆に見せた。自分の土地を持つことは、
亡くなった夫・ジェームズとの夢で有ったと話す。その夢を掴みかけたところ、夫は亡くなったのであった。
アラータはその土地を使い、みんなで製材所を経営する事を持ちかける。問題は、製材所をやり始めるための
金・・・するとコーディは、アクアドルの銀行に今まで少しずつ貯めたお金が12000ドルあると皆に話した。これ
だけあれば、事業を始められる。それを知ると、皆で銀行までお金を下ろしに行くことにした。

翌朝、4人は出かける前に川で水浴びをしていると、一人の男性がこちらに気付いて付け狙っていた。
いち早く異変に察知したコーディは、銃を片手に裸でその男の前に現れる。ジョシュア(ダーモット・マルロニー)
いう男は、一攫千金を狙って金鉱に行く途中であるという・・・銃で彼を威嚇し、この場から遠ざけようとすると、彼
は去り際にコーディに懸賞金がかかっている事を教えるのだった。

アクアドルの街の銀行に着くと早速お金を下ろそうとする。すると、一足遅れて彼女たちの後を追ってきた探偵
社のものに捕まってしまう。観念して連行されようというときに、タイミング良く、銀行強盗と鉢合わせした。
キッド(ジェームズ・ルッソ)という男が率いる、この辺ではその名を知らないモノは居ないほど有名な盗賊団であ
る。
結果的にコーディらを助けた形になったキッドだが、実は彼はコーディの昔の男であった。一度は、彼女たちの
お金を渡してくれたモノの、去り際に彼女の手から現金を取って逃げてしまう。すると瞬く間に、彼らは馬を走らせ
この街から去っていくのだった。彼女らも逃げだそうとするが、一人逃げ遅れたアイリーンが保安官に捕まってし
まう。仕方なくひとまず退散するのだった。
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 西部を舞台に4人の女性が男顔負けのアクションを展開する。
 娼婦を辞め、この街を出て4人で新たな道を進もうとするのだが・・・

 うーん、僕は結構西部劇が好きで、最初はクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)ファンと言うこともあって、
 彼の出演するマカロニウエスタンから次第に目を広げていったのですが、ちょっとこの作品は受け入れがたい
 ものを感じました。西部劇と言ってもいろいろあって、通常思い浮かべるのがこの映画の様に正義と悪が分か
 りやすい形の設定で悪役を銃でやっつけるものから、単純に西部の荒野を舞台にその生活様式にクローズア
 ップしたりするものなど様々です。また、メル・ギブソン(Mel Gibson)マーヴェリック』(1994 Maverick)のよう
 な展開も有りますからね。
 今までと同じ様なものを求める必要は無いのですが、今まで有った映画の登場人物を、男性から女性に変え
 た感があるだけに、どうしてもそういうモノを求めてしまいます。
 少し前に、シャロン・ストーン(Sharon Stone)主演の女性ガンマンの登場する『クイック&デッド』(1995 The
 Quick and the Deadなどがありましたが、西部劇というと強いモノが勝ち残っていく弱肉強食の世界・・そして時
 には狡賢さを備えて居ないと生きては行けないというそんな世界なのですが、この映画では、そういった部分を
 見せずに甘い部分が目立つのですよね。

 一番重要となるのが、乗馬的な技術と拳銃さばきだと思うのですが、馬の扱いは思った以上に上手くて、迫力
 のあるシーンが見られたと思います。両手を縛られた状態で馬に飛び乗るシーンだとか、何かの音に驚いて
 制止の利かなくなった馬が率いる馬車に飛び移るシーン、そしてスピード感のある逃走シーンなど数多く見せ
 場があったように思います。
 ただ、銃の扱いの部分ではどうしてもしっくり来ない部分が多かったです。
 西部の世界で過去実在する有名な女性ガンマンには、アニー・オークレーAnnle Oakley(1880-1928年)、
 カラミティ・ジェーンCalamity Jane(1852-1903年)、ベル・スターBelle Starr(1848-1889年)、パール・ハート
 Pearl Hart
(不明)など存在し、映画化、舞台化した主人公なども居るそうですが、どうもイメージしづらいです。

 主人公コーディを演じたマデーン・ストウ(Madeleine Stowe)ですが、今までどちらかとい
 うと妖艶さのある女性役っていうのが多かったですよね。それが今回自分から周りのモノ
 を引っ張って行くリーダー的な存在という事で、関心は有ったのですが、やっぱり僕として
 は今までの役の方が好きです。
 ただ、他の3人を見てみると力強いキャラクターの人が居ないので、この中のメンバーで
 言うならば、彼女がリーダー役をするしか無いと思いますが。また、久しぶりにドリュー・
 バリモア(Drew Barrymore)の姿が見られたのは嬉しい事です。
 

 映画は押しつ押されつの展開になるのですが、映画の中では幾つかの流れがあります。
 この4人の女ガンマンと、コーディの元恋人であるキッド率いる盗賊グループ、コーディが殺した大佐の雇った
 探偵団、そしてキッドが襲った銀行のある街の保安官たちです。
 これが上手く入り交じってストーリーが展開するのかと思えば、殆どが女ガンマンとキッドの盗賊グループの対
 決なんですね。しかも直接的に因縁の関係にあるのは、この中でもどちらもリーダー的存在のコーディとキッド
 のみ。互いの個人的な問題で皆を巻き込んでいるとしか思えないような映画になってしまいました。

 銀行でお金を下ろしにいった先で探偵団に捕まったコーディを偶然、銀行を襲いに来たキッドたちの盗賊団に
 助けて貰うのですが、キッドたちは自分たちのお金さえも持ち去ってしまったので、そのお金を取り返しにコーデ
 ィ一人で彼らのアジトに行くことになります。
 しかし過去に彼の元を勝手に逃げ出したコーディは、彼らにコテンパンにされてしまいます。
 そこで、コーディはアジトに行ったとき偶然知った彼らの計画(政府がメキシコに横流ししている武器を積んだ
 列車を横取りしようとする)を更に彼女たちが横取りして、それを取引の材料としてお金を取り返そうとするの
 です。
 無謀な事を可能にするのが映画の楽しさなんだけど、それにしては何の知恵も使っていないような作戦なんで
 すよね。相手は殺しのプロ集団で、こちらは銃を使った事があるのかないのか分からない娼婦たち・・真っ向か
 ら行っても勝ち目が無いことは一目瞭然なのですが、もちろん横取りするくらいなんだから不意打ちくらいはし
 ているものの、以降、このキッドたちと戦うにも作戦など全く無いような行動で手中に納めようとしているっていう
 のは、なんか見ていて不自然でした。

 この作戦は一つの犠牲の元、一応成功を収めるのですが、その犠牲というのが仲間の一人リリーが捕まって
 しまう事です。変わりにキッドの父親フランクを人質にして互いに人質を交換しようとしようとするのですが、フラ
 ンクの事を親の敵として追っていたジョシュアが、彼に罵倒され交換する前に引き金を引いてしまうことになり
 ます。
 でも、これは有る意味当然な事で予想できる展開なのですが、その非を全て彼に押しつけたようなコーディの
 言動になんともハラが立ちました。今まで彼がサポートしてきた事、この事件の発端となるべき事、全て否定し
 ているかの如く彼を追い出します。

 最後の見せ場の取引の時、武器を持っていくのですが、もう少しなんとかならないのでしょうか。
 ラスト、銃弾切れの相手に1発の弾を与えて早撃ちの決戦になるのですが、ポーズは決まっているのですが、
 あんなに目線にまで銃を構えて左手で据えるような撃ち方して勝てる訳が有りません。マデリーン・ストウの
 役所がワイルドさを前面に出していたので、そんな見せ場よりも僕は勝負すると見せかけて実は裏切られ
 たお返しに、鬼畜ながらも、容赦なく相手をうち倒して最後は”フン”と鼻で笑うようなずる賢さが見たかったと
 思います。
 結局最後まで相手のペースで進み、しかし勝負だけは勝ってしまった感じがちょっと気になりました。
 (無傷とは言わないけど4人は強盗団を全滅させて、肝心の当人らは無事ですからね)
 もう少しコメディ色が強ければ最後の探偵団のオチも良かったのに・・最後は可哀想な扱いになっていました
 ね(^^;


 マデリーン・ストウ     (コーディ・ザモラ)
 メアリー・スチュアート・マスターソン
(アニータ)
 アンディ・マクダウェル  
(アイリーン/ウィリアム好き)
 ドリュー・バリモア     
(リリー)
 ダーモット・マルロニー  
(ジョシュア・マッコイ/コーディを追う)
 ジェームズ・ルッソ     
(キッド)
 ジェームズ・レグロス   
(ウィリアム/牧場サークルT)
 ロバート・ロッジア     
(フランク/キッドの父)



評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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