スティング2 The Sting2 1983年 アメリカ 監督 ジェレミー・ポール・ケイガン 製作 ジェニングス・ラング 脚本 デビッド・S・ワード 撮影 ビル・バトラー 音楽 ラロ・シフリン 出演 ジャッキー・グリースン、マック・デイビス、テリー・ガー、カール・マルデン |
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1940年、ニューヨーク。クラブから女性を引き連れて出てくる男キッド・カラーズ。女は上手いことキッドを
車に乗せると自分は乗るフリをして降りてしまう。その車には、髭を生やした男・ロネガンやカルロスなど
が乗り合わせて彼を取り囲み、密かに倉庫へと拉致していくのだった。6年前、”電信”のトリックを使い
競馬サギで多額の金をせしめた事から、ロネガンは復讐する時を待っていたのだった。まずはキッドから
だと、ロネガンはいつもの紳士的な振る舞いとは違い、彼を手荒く扱いなぶり殺すように痛み付け、海の
底へと沈めた。この手口は、ブルックリンを取り仕切り”オオカミ”の異名を持つマカリンスキーの手法だと
言うと、メモに書かれたキッドの名に横線を入れるのだった。次はジェイク・フッカーの番だと・・・
その頃、フッカーはエディーと共にチームを組み、相も変わらず獲物を探してカジノを彷徨いていた。
エディーが客の一人で親を連れてきている女性に目を付けてフッカーに連絡する。フッカーは、獲物を一瞥
すると、ターゲットは美人であり、母親を連れてきている客に躊躇いの声を挙げる。しかし、エディーは
ファーゴの口癖を引用し”ペテンに色恋は禁物だ”として、決行することを決めるのだった。
まずはエディーが彼女らのテーブルに近づき声をかける。そして、わざと気付かれないように金時計を下に
落としていくと、今度は入れ替わるようにしてフッカーが近づき、彼はこの店の警備員だとして彼女たちに
自己紹介した。彼は、この辺でも最近は置き引きなどサギ事件が多いことを話し、客の一人が金時計を
盗まれたことを説明した。もし見つけてくれたら500ドルの報酬金を支払うという。すると、去り際に彼女は
テーブルの下にある金時計を見つけると彼に手渡すのだった。500ドルを手渡そうとするフッカー。しかし
普通にお金を所持しているのは危険だというと、全財産を封筒の中に纏めて入れ、懐に隠すよう実践して
見せた。そして、懐にある殻の封筒を手渡し、持ち去るという手口のサギだった。
上手くいったとエディーと共に喜ぶ。そして儲けた金を確かめようとすると、封筒の中には5ドル札が一枚だけ
しか入っていなかったのである。やられた・・・と思ったときには後の祭り。既に彼女らはその場から消え去って
いたのだった。
全財産の殆どをつぎ込んだ作戦が失敗し、肩を落として帰宅する二人。自宅の扉には、大家から家賃の
支払いを催促する督促状。そして、電気やガス、水道が止められていたのだった。
そこに電報を持ってくる局員。それは、彼らのボスであり、文脈から裕福な生活をしているファーゴからの
ものだと分かる。彼は、自分たちを招待しているのが分かると、早速ブルックリンへ向かおうとするのだが・・
翌日、金の無い二人は電車賃を稼ぐために、駅の構内で一組のカップルからお金を盗むことに。病人を
装って相手の懐から財布を抜き取る手口。女連れの男から財布を盗むことは容易であり、その財布を持って
汽車に乗り込む。しかし、財布を見ていると盗んだ主の男はブルックリン市警のオマーリーだと言うことが
分かった。
ファーゴの手紙を頼りにその場所へ行くと、そこは刑務所だった。ファーゴは二年前に何故か犯罪の公聴会
に呼び出され質問に答えたら二年の別荘暮らしになったと二人に説明する。そして、呼び出した本題を話し
始めた。それは、親友だったキッドがマカリンスキーと思われる男に殺されたという事だった。キッドとは
両親が亡くなったとき、落ち込んでいた自分を助けてくれた命の恩人だという。そこで、水曜日の出所後、
仕返しするために、仲間を集めてマカリンスキーに復讐しようと告げるのだった。
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前作「スティング」(’73 The Sting)より10年。物語中では6年後の1940年ニューヨーク・ブルックリン。
前作でサギられたロネガンは、彼らに仕返しするために、彼らの仲間であるキッドを殺害する。
その殺害方法を、コニー・アイランドに縄張りを持つマカリンスキーに習って行い、彼が殺したように
装い両者を衝突させようとするのだが・・・
うーん、思ったよりも良くできていたなぁーと言うのが第一印象です。
前作はかなり人気が有ったので、作る方も相当気を使ったのじゃないかな・・・なにせ、メンバーが全て
一新し脚本家のデビッド・S・ワード以外スタッフも出演者も全て別。それなのに、前作との繋がりの有る
映画を作るっていうのだから、勇気が有るとしか言いようがないです(^^;
一作目ではサギ師の物語ながら、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが出演し、何処か
スッキリとしていて上品な感じのする映画だったけど、今回のジャッキー・グリースンとマック・デイビスの
コンビは、息が合って居ながらも、どちらかという中年の哀愁漂う味みたいなものが出ていた映画に
仕上がったと思います。
脚本家が同じだからでしょうか・・前作と同じような手口を使い、同じようなシナリオの道筋、そして同じ
ような役柄の人が出演しているので、手堅くみられる作品なんですよね。これをパクリと見るか、前作
の設定を基調としているのかでまた評価が変わるのですが、前作を見ないと楽しめない部分(前作が
あるから得している部分)と、また前作のヒットで損している部分がこの映画では特に見られます。
前作では、競馬賭博でのノミ行為・・そして今回はボクシング賭博でのノミ行為です。
近づくために行ったこと。一作目のロネガンの場合、女性に対しても厳しかったため容易に近づく事は
出来なかったのですが、今回のターゲットであるマカリンスキーは、遊び(女)好き。冒頭で騙し合いした
女性ヴェロニカと手を組み彼女を使って彼を誘い出します。自信たっぷりの彼の前に、ファーゴが
割り込む形で近づき、彼の上を行くような紳士ぶりを発揮して、実質マカリンスキーを侮辱したような
形になります。そこで、ビリヤードに誘い込むのですが・・・ジャッキー・グリースンといえば、あの
ポール・ニューマンと共演した「ハスラー」で、宿敵ファッツを演じた事があるんですよね。それ故に
滅茶苦茶上手い曲芸が見られます。やはり、折角拾得した技術を一つの映画にだけ使うのはもったい
無いですよね。ジョン・トラボルタがディスコ/ダンス系の一芸に長けていた事を利用して、その後の
映画でもそんなシーンが見られますが、こういうシーンを後の映画で使用してくれるというのは、映画
を視聴している人にとって、嬉しい演出じゃないでしょうか。
評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0) |
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