カウンターのふたり
(2012年4月期・BS12・土曜)

脚本:龍樹
演出:松木創
企画:中山和記
編成:池上直樹、鎌田雄介
プロデューサー:伊賀宜子
演出:選曲:松木創
主題歌:アリル「if」〜もしも2人が〜

http://www.twellv.co.jp/event/counter/





第1話 桜の記憶
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沖野修也は一人でバーのカウンターで飲んでいた。
そこに小山千春がやってくる。突然千春は修也の後ろに立つと、
私の顔をちゃんと見なさいと告げる。修也は不思議そうに振り
向くが意味が分からず戸惑っていると、私の顔が分からないの
か?と問う。千春は殴りかかろうとするが、修也はそれを察し
て千春の腕を掴むと、何が理由なのか?と問う。私は悪くない
謝るのはソッチの方だと告げ、私が今までどんな思いで居た
のか、そして今日どんな思いできたのか分かるのかと激怒。
今度は私が貴方を捨てる番であり、貴方がしてきた事を私は
認めないと告げる。それを言いに来たのだという。

修也は千春に、カウンターで待っているよう父親に言われたの
だろう?とし、カウンター席を指さす。するとそこは予約席と
なっていた。千春の勘違いだと気がつくと、修也は君の父親が
来るまで良かったら話を聞くとして、隣に座らせる。

バーテンダーにカクテルを出してもらい彼女を落ち着かせる。
修也は千春に父親の顔を全く覚えていないのか?と問うと、
5歳の時に母に弁当を持たされて逢ったきりだという。千春は
何故父親と逢うと言うことが分かったのか?と問うと、あんな
言い方をするのは身内の者に対してだけだろうと告げる。
千春は20歳の誕生日に父が会いたいと言ってきたことを母親か
ら聞いたのだとし、誕生日を覚えているのに15年間一度も逢いに
来ない父親のことを非難する。
修也は本当に父親の事を捨てる気なのか?と問うと、父には
別の家庭があり、二つの家庭の父親の顔をしようとするなんて
許せないという。その事に関して一度も謝罪の言葉も聞いた事
が無いとすると、罪悪感が強いほどになかなか謝れないもの
ではないかと告げる。
千春は父親は桜の花のような存在では困るという。
この季節になると派手に咲き乱れて、心を温かくするが、その
期間は短く、自分は桜ほど華やかでなくても良いので、いつも
咲いている花が良いと語る。

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クルマのふたりの続編。
初回は「クルマのふたり」のスペシャル版に登場したバーテン
ダーの沖野と、客としてやってきた千春の物語。

千春と父親の境遇は父親の身勝手さによって引き起こされたもの
で、娘として許せない気持ちもよく分かるが、それ以上に不幸な
生い立ちを持つ沖野との会話によって、その傷や父親との確執
が少しずつ溶けていくというもの。

この店に来たという事は、千春自身の中でも許したい気持ちや
父親と接したい・話したいとする心情が描かれているのだろう
し、ネガティブに感じていた桜の木に対して、ポジディブに
なれるようなエピソードを持って、上手く締めくくったような
話だった。

桜の木は咲く期間は短いけれど、一斉に咲いたときにはとても
華やかで何にも増して美しい花である。わずかな期間では有る
が見た者を幸せにするもの。しかし一瞬で散ってしまうこと
からも、わびさびを感じるような情緒溢れる桜の姿は、日本人
の価値観をもっとも象徴する樹なんだろうね。

初回としてはまずまず。
基本コンセプトとして車の中での会話から、バーでの会話に
なったことで多少年齢層もアップするのかなと思うけど、
会話だけで構成される物語故に脚本家の手腕が試されるところ
かな。

沖野修也 …… 別所哲也
小山千春 …… 大後寿々花
猪崎 …… 羽田真
ウェイター …… 森一実

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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