フジテレビ開局50周年特別企画三谷幸喜作

わが家の歴史 
「空前のスケール超豪華キャスト史上最強作今夜誕生!」

脚本/三谷幸喜
演出/河野圭太
音楽/服部隆之
企画/大多亮、和田行
プロデュース/重岡由美子、稲田秀樹、江森浩子

http://wwwz.fujitv.co.jp/wagaya/index.html


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昭和7年、時次郎は妻子を連れて浅草にいき、榎本健一を見る。

昭和2年、筑豊で石炭採掘用器具を作っていた八女家は繁盛して
いたが昭和7年夏、炭坑落盤事故が起こり時次郎の会社は保証金
を支払い、会社は倒産。一転して福岡県の姪浜の小さな借家に
住むことになる。どんな境遇でも落ち込むことを知らない父
だった。

昭和18年、太平洋戦争が勃発し、長女の政子は女子校を中退し、
家計を支えていくことになる。長男・義男は身体が弱く、宗男
はイタズラ好きで親友のつるちゃんと連む。波子は読書好きで
房子は暇さえあれば絵を描いていた。

政子は郵便局に勤める大浦竜伍の事を好きになるが、赤紙が
送られてきて戦地に送ることになる。そんな彼も満州で戦死し
たとの連絡が入る。
アメリカB-29の爆撃により福岡市内も戦火に包まれ、2ヶ月後
には降伏し戦争は終わる。

昭和21年、幸い焼け残った姪浜に戻り水飴の販売を始めると
結構良い収入を得ることが出来た。
昭和21年は吉田茂内閣で、何故か時次郎は好きだった。ある時
時次郎の戦友である古賀が機械の設計図をもって家にやってく
る。醤油を作る機械で、普通は大豆から作るが、人の髪の毛から
アミノ酸を取って作る機械であるという。しかしそれが大失敗
し、辺りに臭いが充満して引っ越しを余儀なくされる。
引っ越し先は古賀が見つけてきた百道の海水浴場。なんと海の
家を住まいにするというものだった。
屋根と畳しかない様な場所であまりの酷さに、お金を貯めて早
く引っ越ししなければならないと考える政子。長男の義男は
今の自分に出来ることはないとして、せめて勉強して東京の大学
に入り出世してみんなを養うことだと考える。東京帝都大を
受ける決意をする。義男は姉の家族を支える頑張りに感謝する。

政子は中洲に良い店は無いかと考える。クラブのダンサー、
ホステスはどうかとするが、弟妹たちは賛否両論。政子は友人
のゆかりに相談する。一応家族には小料理屋で働くことにして
ホステスとして働くことを告げる。ゆかりは東京の大学を受ける
として家族みんなで東京に引っ越しするという。

クラブ"長い夜"の柳隆五郎を尋ねると働けることになり、"イブ"
という源氏名をもらう。
しかし彼女は踊りが踊れず客から不満を持たれる。何か踊れる
ものは無いかと言われ炭坑節を踊ると、意外にもウケる事になる。
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日本の戦後復興期を通して八女家が身を寄せ合いながら助け合い
成長していく様子が描かれる。

奇しくも裏番組が「ALWAYS 三丁目の夕日」ってことで、これに
故意にぶつけるために企画したのではないかという感じのドラ
マ。

オールスターキャストという事で、起用された若手の俳優は今
をトキメク人たちばかりで、ある意味"三谷幸喜"に対するテレビ
界の姿勢が伺えるようなドラマだ。

ドラマは政子がメイン。
一家の大黒柱と成らざるを得ない境遇だが、それでも決して
腐らず明るく生きている様子が描かれる。
この辺の明るさは父親譲りであり、そういう意味では父親は
子育てを間違えていないが、仕事をしていない父親が時折家族の
ためと称して金儲けをしては失敗するという一連の行動は、
昭和にあった家庭像の一片を見るようで面白いところ。
ぐうたらしている父親に対しても、居るだけで家族の象徴のよ
うな存在感を発している所は見事である。

舞台は夜の社交場と言うことでもう少し艶っぽさが描かれる
のかと思えば、とても誠実なクラブが舞台となっており、
鬼塚大造という人物の性格が表れている部分かも知れない。

一夜という事であまり家族としての深い葛藤や事件性は描かれて
いないが、大学に通う義男の怪しげなアルバイトの件や、学生
運動に何気なく関わっているゆかりの存在、そして政子と千晶
の関係など、いつでも発火しそうな問題は山積しており今後を
期待させる要素でもある。

また今回は殆ど取り上げられないが、波子や房子の行く末なん
かも気になるところ。

大浦竜伍の存在が鬼塚大造との関係に揺れる中で再登場して
面白い心理状況を生むが、政子が貫き通した決断と、後腐れ
を無くすかのような大浦の共産主義的思考がアクセントとして
面白く現れたと思う。今後も大浦とは何らかの関わりが出てく
るのだろうか?

そして「世にも奇妙な物語」に於けるネタフリしていた、柴咲コウ
のセリフ。ひねっていた割りには普通だったぞ!やっぱり三谷幸喜
にセリフの神は下りてこなかったか?

八女政子 …… 柴咲コウ (長女)
鬼塚大造 …… 佐藤浩市 (政子の夫)
八女実 …… 
[1歳-2歳]:加藤憲史郎、
[6歳-10歳]:加藤清史郎 (政子と大造の息子)
八女義男 …… 松本潤 (長男)
八女宗男 …… 佐藤隆太 (次男)
八女波子 …… 堀北真希 (次女)
八女房子 …… 榮倉奈々 (三女)
一之瀬ゆかり …… 長澤まさみ (義男の恋人)
鶴鶴太郎 …… 大泉洋 (一家の幼馴染)
大浦竜伍 …… 玉山鉄二 (政子の元許婚者)
阿野三成 …… 山本耕史 (波子の恋人)
マリア …… 鈴木砂羽 (宗男の妻)
古賀巳代治 …… 高田純次 (時次郎の戦友)
鬼塚千晶 …… 天海祐希 (大造の本妻)
八女マキ …… 富司純子 (母)
柳隆五郎 …… 阿南健治
八女時次郎 …… 西田敏行 (父)

美空ひばり:さくらまや〔10歳〕、相武紗季
高倉健:小栗旬〔学生時代〕
笠置シヅ子:戸田恵子
榎本健一:木梨憲武
手塚治虫:藤原竜也
力道山:山口智充
村田英雄:中尾明慶
長谷川町子:和久井映見
吉田茂:角野卓造
糸川英夫:高嶋政伸
白井義男:武田真治
仲代達矢:山田孝之
古川ロッパ:伊東四朗
遠藤周作:八嶋智人
丸山明宏:ウエンツ瑛士
升田幸三:内野聖陽
山下清:塚地武雅
永井荷風:石坂浩二
岸信介:小日向文世
宮崎正志【架空の人物】:岡田将生
柊修二【架空の人物】:寺島進
獅子丸寿一【架空の人物】:中井貴一

今井悠貴、山本耕史
温水洋一、有薗芳記、伊藤正之、野添義弘、イアン・ムーア
眞島秀和、武井秀哲、椎名るか、加部亜門、高澤父母道
篠川桃音、秋山竣、影山樹生弥、宮武美桜、鈴木米香
佐藤隆平、田島ゆみか、中江大樹、石部雅紀、箱田暁史
中道悠貴、山田高廣、前田こうしん、高桑満、はせがわ天晴
田中良子、ミヘール・ラインダス、トム・ミルズ、杉本崇
小野寺創、桑原裕子、饗庭大輔、溝口盛司、山田裕三
光森誠、周亮、溝口鉄朗、神永流唯、西野来瞳、田淵結衣

ナレーション:役所広司


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (60)

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