相棒9
(2010年10月期・テレビ朝日水曜21時枠)

脚本:戸田山雅司(1)(2)(9)(12)(16)(17)(18)、太田愛(3)(5)(13)
櫻井武晴(4)(6)(8)(15)、輿水泰弘(18)
徳永富彦(7)(14)、古沢良太(10)、ブラジリィー・アン・山田(11)
監督:和泉聖治(1)(2)(10)(15)(18)、近藤俊明(3-6)(12)(13)
東伸児(7)(9)(14)(17)、橋本一(8)(11)、田村孝蔵(16)

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/



第18話 亡霊
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東京拘置所の死刑執行日。
極左テロ集団"赤いカナリア"の元幹部の本多篤人(57歳)は、
この日刑務官に連れて行かれついに死刑が決まる。

翌日、新聞で本多が死刑執行されたのを知る神戸、右京、角田。
70年代カリスマ活動化として数々のテロを起こして海外に逃亡
していた彼も、若いテロリストに娘の
茉莉を誘拐され、帰国
させられていた。晩年は哀れだったという角田。

衆議院議員の
片山雛子の前に死刑執行されたはずの本多が連れて
こられる。一体どういう事なのか?雛子は
超法規的措置だとし、
表向き死刑は執行され戸籍も抹消された事を告げる。

公安調査庁管理官三反園邦康管理官は、部下の柴田美津夫
宮内久志らに指示して、本多を指定された場所に連れて行く。
公安の景山紀夫たちは、本多解放と引き替えに、犯人から指示
された場所に"ブツ"を探しに行く。すると目的のブツは見つかる。
ブツは
炭疽菌3gだった。3千万人を死に至らしめる量のもの。
テロリストとねばり強く交渉し、本多解放と引き替えに、炭疽菌
を出すよう求めたのである。片山は内閣に一任され、今回の
超法規的措置を指示しており、下手に動くと残りの炭疽菌を
ばらまかれる可能性も有るので、要求通り本多を解放しろと
告げる。

右京たちは元法務大臣で現在東京拘置所に収監されている
瀬戸内米蔵に呼び出されて拘置所へ向かう。神戸と瀬戸内は
今回初めての顔合わせ。瀬戸内が控訴する事を知り尋ねると、
周りの支持者は懲役10年では重すぎるとか色々と言ってくるのだ
という。しかし保釈だけは断ったとの事。右京は何故我々を
呼び出したのか尋ねると、本多は死刑を受けていないとし、
生きて保釈された事を語る。もし話が本当ならば、政府や
法務省ぐるみの事件だという。しかしどうしてそれを知ったのか
と問うと、指示してくれている刑務官の人が内部告発をして
くれたと語る。

本多は釈放された後、仲間から
菊地写真館へと連れて行かれる。
そこには赤いカナリアの幹部の一人・
鮎川音弥の姿があった。
中東の組織と手を組んで炭疽菌を手に入れたのだという鮎川。
何故俺を助けたのか?と問うと、鮎川は観測実験だという。
政府がどれだけ弱腰か、この件で調べたのだという。
交渉に応じるかどうか。その結果、政府は本当の情報を一切
流さない事が分かったという。本多は次の計画は何なのか?と
問うが教えられないという鮎川。本多はもうテロリストの時代
ではないとするが、日和見主義になったなと告げる。
本多は娘は何処にいるのか?と尋ねる。

本多はすぐに娘・茉莉のアパートを尋ねる。
殆ど逢ったことのない娘とついに対面。本多は彼女にハグし
逢いたかった事を語るが、自分のせいで苦労を掛けたことを
謝罪。すぐに立ち去ろうとするが、茉莉は彼を部屋に挙げる。

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死刑執行日、表向き執行された囚人・本多篤人だが、実際には
超法規的措置によって釈放されていた。
右京たちは拘置所にいる瀬戸内米蔵から話を聞いて、事実関係
を調査していく。調べていくウチに、衆議院議員の片山雛子の
元にたどり着き、テロリストと交渉していたことを知る。

いよいよシーズン9も最終話。
シリーズ期間中に劇場版が挿入されたことで、小野田関係の
エピソードに於いては多少なりとも劇場版を見ないと
分からない部分がある。右京が監察対象となった16話で、
彼らをバックアップしていた人物が居なくなったとの会話を
聞いて想像はしていたけど、やっぱり小野田さんは亡くなって
いたのね。

長年の右京と小野田の正義に於ける対立点がドラマとしては
骨太のバックボーンとなっていた部分があるけど、シーズン9
の最後で小野田がしたかった意図が明らかになった。
目の前の事件に全力で立ち向かう右京と、大義のためには多少の
犠牲と事実のもみ消しに目を瞑るのもやむなしと考える小野田
の対立の構図がもっとも顕著に表れるのが、この手のテロリスト
ネタの時なだけに、小野田の居ない警視庁はちょっぴり寂しい
物がある。

相変わらずこのドラマに於ける木村佳乃さんはハマリ役だ。
他のドラマではツーンと来る役柄が多いけど、このドラマに
於いては狡猾な姿はとても面白く描かれている。

テロリストたちのしようとしている事は、炭疽菌まで用意して
ことから、残党とはいえ恐ろしい物があったけど、今回の一件
ではかなり警視庁周りの騒動に巻き込まれた感が強く、途中で
右京達は一瞬何処に向かって動いているのか分からなくなる
部分があった。特にテロリストで囚人である本多篤人を助けた
り、拘置所から不法に出したりする辺りは、リアルさを求める
ドラマにして珍しく現実離れしてしまった感もある。

しかし今回は捜査一課・伊丹たちが右京に丸投げするシーン
とか、とても意外性もあって面白かったし、公安がドラマに
絡んでくると、やっぱりちょっと引き締まる物が有るなと感じ
た。

今回でほぼ赤いカナリア周りは殲滅してしまった感じだね。

ちなみに本多篤人と娘・早瀬茉莉の話が描かれたのは、
シーズン8の初回「カナリアの娘
瀬戸内米蔵が東京拘置所に収監される経緯は、シーズン7
2話「還流〜悪意の不在
で描かれている。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)


片山雛子 …… 木村佳乃 (衆議院議員)
瀬戸内米蔵 …… 津川雅彦 (元法務大臣)
本多篤人 …… 古谷一行 (赤いカナリアの元幹部)
早瀬茉莉 …… 内山理名 (本多の娘)
三反園邦康管理官 …… 白竜 (公安調査庁)
宮内久志 …… RIKIYA (公安調査庁)
柴田美津夫 …… 中倉健太郎 (公安調査庁)
鮎川音弥 …… 岡本富士太 (赤いカナリアの元幹部)
上野幸四郎 …… 真夏竜 (内閣危機管理監)
小野田 …… 岸部一徳 (官房長)
山本 …… 河合龍之介 (雛子の秘書)

大家仁志、塚原大助、清川均、石川裕一、石原善暢、宮本京佳
日野弘穀、小原ヒサ、竹内和彦、新虎幸明、西村太佑、浜田大介 西沢智治、門脇亨


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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